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腎臓病の進行を遅らせるために(4)日常生活で気をつけること

腎臓病の進行を遅らせるために何かできることはないのでしょうか?
今回はこれまでの「まとめ」という意味で、日常生活で気をつけることについて考えていきたいと思います。

2024年3月、紅麹発酵健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが社会的に問題となっています。必然的に腎臓の大切さ、腎機能の見方、腎臓病の意義、慢性腎臓病(CKD)を疑う症状などについて、普段知ることがなかった方も目にすることになったかもしれません。

図1をもとに、順番に見ていきましょう。まず、自身の腎機能を知ることです。腎機能は糸球体濾過量(GFR)で表すことがほとんどです。GFRを計算するもととなるのは、血液中のクレアチニンでしたね。算出されたGFRはeGFRと呼ばれます(第2回コラム)。さらに、腎臓の障害を知る1つの方法として、尿タンパクの定量が行われます。この2つから現在の自分の腎臓の立ち位置を知ることができます。

第1回コラムにCKDガイドラインのCKDの重症度分類を載せています。緑色に入ればとりあえず大丈夫ということになります。薬剤服用量や、生活などにほぼ制限はありません。「健康診断でeGFRが60を切っていたので、二次健診を勧められた」と来院する方が少なくありません。当院ではこのような方には血清クレアチニンの他に、血清シスタチンを測定しています。第2回コラムでも述べたように、GFRの測定には絶対はなく、シスタチンで求めたGFRの方がよいことは良く経験します。筋肉量が多い人ほどeGFR計算値で低値となることが多いため、一喜一憂せず、心配であれば腎臓専門医の受診をお勧めします。

次に、GFRを低下させる背景となる疾患の把握です。肥満、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、心不全、腎動脈狭窄、腎の奇形、泌尿器科的疾患などが挙げられます。さらに、服用している薬剤の副作用にも注意する必要があります。もし、未治療の背景疾患があれば、さらなるGFRの低下を予防するためにも、正しい診断、正しい治療が必要となります。治療中の方も、自分の病気が正しくコントロールされているのかをもう一度主治医に相談してみてください。

また、現在、医学的に証明されている腎臓を保護してくれる薬剤が何種類か知られています。高血圧薬のうちのとある種類、糖尿病薬のとある種類、尿酸降下薬などです。これも、主治医や腎臓専門医に相談してみることをお勧めします(第4回コラム)。決して自身の判断で健康食品に飛びつくことにないように。

さて、最後は自身の努力です。栄養管理、生活習慣の見直し、正しい運動療法ということになります。栄養に関するお話は第5回コラムに記載しました。CKDステージの低くない方は、あまり制限はありませんが、太らないような食事は必要です。つまり、正しいカロリー管理です。また、許される一日の食塩摂取量があまりにも少ないことに驚いた方は多いのではないでしょうか。なお、スポーツジムなどで勧められる高タンパクサプリは量を計算して摂取することが必要です。許される摂取量を超えている場合には注意が必要です。

生活習慣面では、過度の飲酒は避ける、禁煙を徹底する、体を休めることは必要です。過度の飲酒は肥満、生活習慣病につながります。ニコチンは血管を収縮させ、血流を減らします。ご注意ください。

体を休めることは大事ですが、メリハリのある運動は必要です。運動に関しては第6回コラムに記しています。かつて、CKDの方は運動が禁止されていた時代もありましたが、今では運動は推奨されています。コラムの表を見た方、意外と運動量が多く、一見驚かれるかもしれませんが、そこまで難しいことは要求していません。運動が実際にGFRを改善させたという報告も相次いでいます。是非頑張りましょう。小生もコロナ渦で大分みっともない体になってしまいました。皆さんと一緒に努力して参りたいと思います。これまでのコラムを今一度ご参照ください。

図1 腎臓病の進行を遅らせるために気をつけること

自身のGFRを
知る
  • 血清クレアチニンによる推測が一般的
  • eGFRはクレアチニン値と年齢で計算される
  • シスタチンやβ2MGでも計算できる
  • 絶対に正確なGFR測定法は外来では困難
正しい
背景疾患治療
  • 糖尿病、高血圧、脂質異常、肥満は是正を
  • 腎臓病が疑われれば、腎生検-適正な腎臓病治療が必要
  • 薬剤による副作用の場合には被疑薬中止も必要
適切な
食事・運動
  • 肥満は大敵
  • 塩分は3-6g/日が理想
  • 脂質の取り過ぎに注意
  • 適度な運動はGFRを改善する

はらだ腎泌尿器クリニック

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