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腎臓病が進行したらどうなるの?(腎代替療法について)

腎臓病が進行すると、腎臓の機能が失われていきます。その理解のために腎臓の機能についておさらいしましょう。

腎臓の主な機能は以下の4つです。

  • 尿を作る
    尿の中には過剰な水分、電解質、老廃物(薬剤なども含む)、酸が含まれます。
  • 血圧を調整する
    腎臓は血圧の影響を敏感に受けます。もし血圧が下がれば、血圧を上昇させるホルモンを作ります。
  • ビタミンDを活性化する
    ビタミンDは食事から取り込まれ、日光を浴びたときに皮膚でも作られます。その後肝臓を経て、最終的に腎臓で活性化されて働きます。
  • 赤血球を作るホルモンを作る

つまり、腎が悪くなると以下の症状が出てきます。

  • 体に水分や老廃物がたまります
  • 体が適正なpHに保たれず、酸性に傾きます
  • 血圧が上昇します
  • 骨がもろくなります
  • 貧血が進行します

軽症のうちは気が付きませんが、悪化すると、さまざまな症状が出てきます。それらの症状に対しては、例えば、血圧を下げる薬はもとより、赤血球を作るホルモンやビタミンD製剤、酸性を改善する薬など、最近はさまざまな薬を使うことができるようになっています。しかし、どうしてもそれらの症状に対処ができなくなってきた場合には、腎代替療法という腎臓の働きを補ってくれる治療を行う必要があります。

腎代替療法には以下の4つがあります。

i. 腎移植

わが国では1980年台に広まりだし、現在では年間2,000件を超えるようになりました。わが国では生体腎移植がほとんどで、献腎移植は10%程度に過ぎません。生体腎移植も献腎移植もドナーの方の尊い意思があってはじめて成り立つ医療です。

腎代替療法の中で唯一と言ってよいほど、腎臓の機能を回復してくれる方法です。ただし拒絶反応を抑えるために免疫抑制薬の服用が必要です。現在では急性拒絶反応はほぼ起こらず、感染症もかなり制御が可能となっています。依然、慢性拒絶反応が問題になりますが、生体腎移植では移植後10年経過しても透析を免れている方の割合が83%程度もあり、かなり長期に生着しています。
なお、腎移植は保険診療です。公的医療補助制度があり、それほど費用負担はありません。もっとも理想的な腎代替療法といえます。

腎移植

腎臓移植手術の模式図
(日本腎臓学会、日本透析医学会、日本移植学会、日本臨床腎移植学会編「腎不全の治療選択」より)

ii. 血液透析

わが国でもっとも標準的な腎代替療法です。体から血液を取り出して毒素や水分を抜き、体に戻す方法です。家庭でもできますが、部屋の改装などが必要であり、患者さんの多くは透析施設に週3回通院して治療を受けます。1回に4~4時間半あるいはそれ以上の時間が必要です。何度も針を刺すことができる太い血管を準備する必要があるので、手首に「内シャント」と呼ばれる血管を手術で作製しておく必要があります。透析自体で代替できる腎臓の機能は、老廃物と余分な水分の除去、電解質や酸塩基の調節のみであり、それ以外は薬剤で補われます。水分や、食事面での制限が多い治療法です。保険診療で、公的医療補助制度があります。

血液透析

iii. 腹膜透析

腹膜は特殊な構造を持っており、それを利用します。つまり、お腹の中に透析液を注入して一定時間おき、毒素や水分を除去します。お腹に透析液を入れるチューブを入れておく必要があります。基本的に透析液交換はご自身で行うことになりますが、通院は1カ月毎でよく、自動で透析液を交換してくれる器械もあります。現状よりもっと普及してもよい治療法だと私は思います。保険診療で、公的医療補助制度があります。

腹膜透析

iv. 保存的腎臓療法

今までは、腎臓が一定程度悪化した場合には、医療者側から透析療法が勧められてきた傾向がありました。しかし、腎代替療法選択にあたって腎移植も透析も受けず、現在の保存的治療で頑張るという選択肢が認められています。ご家族や医療者と十分に相談する必要がありますが、大事な選択肢の1つです。


それぞれの治療は皆さんが医療者と話し合って決めることであり、医療者側から強制的に押しつけるものではありません。よく相談して決めていただきたいと思います。

腎代替療法の比較

腎機能の回復 寿命の改善 日本での頻度 その他
腎移植 少ない 提供者が必要
血液透析 X - △ 非常に多い 週3回通院
腹膜透析 X - △ 少ない 患者さん自身の手間があるが、患者さん自身が管理できる
保存的腎臓療法 X X - △ 周囲とよく相談する必要あり

はらだ腎泌尿器クリニック

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